『鉄腕ゲッツ行状記――ある盗賊騎士の回想録』

ルターやデューラーと同じ時代を生きた中世ドイツの騎士、ゲッツの自叙伝を読みました。

ゲッツ・フォン・ベルリヒンゲン(1480/81-1562)は貴族の生まれで、豪胆な騎士として名を轟かせていた実在の人物です。彼は1504年のバイエルン継承戦争で右手を失いますが、義手を付け、鉄腕盗賊騎士として晩年まで大暴れしました。

本書は、ゲッツが挑んだ決闘や盗み、誘拐など数々の行いを綴った回想録です。

ゲッツは、ゲーテの戯曲『鉄腕ゲッツ・フォン・ベルリヒンゲン』(1775年)のモデルとなった人物です。戯曲では、農民を助けた勇敢な騎士、ヒーローとして描かれています。
しかし、本書を読むと、実際のゲッツは英雄どころか、相当のワルだったことが分かります。
他の貴族に決闘をふっかけて和解金をせしめたり、商人や旅人を襲って金や物品を巻き上げたりして、騎士の風上にも置けない人物です。
ただの暴れん坊とも言えるゲッツですが、自叙伝を読んでいるうちに、彼のやんちゃっぷりが可愛く思えてくるのです。
片腕を味方の大砲で吹っ飛ばされても、軟禁や幽閉などの罰を受けても、ゲッツはめげることなく暴れまわります。自信家である一方、自分の幸運は神様の恩恵によるもの、と何度も述べるなど素直な心を持っています。
ゲッツ爺さんの回想録、ぜひ読んでみてください。

余談:本書に興味を持ったキッカケは、白水社のHPに掲載されていた「このハクスイシャがすごい!2009年版」を読んで、面白そう!と思ったからです。


『鉄腕ゲッツ行状記――ある盗賊騎士の回想録』
画像

白水社/初版2008
ゲッツ・フォン・ベルリヒンゲン著
藤川芳朗訳

この記事へのコメント

おじゃるまる
2009年04月05日 11:29
『鉄腕ゲッツ行状記』池内紀さんだったと思いますが、書評に紹介されていて、興味があったのですが、なかなか読む機会がありませんでした。早速読んでみようと思います!
Anna
2009年04月05日 21:28
早速のご訪問、ありがとうございます!
本の中で、ゲッツの義手の図版も紹介されているのですが、すごく細かな作りでカッコイイんです。ぜひ図版もご覧になってみてくださいね!

この記事へのトラックバック