『過去への扉をあけろ』

今回ご紹介する本は、大変良い本なのですが、現在販売されていません。図書館で借りられると思いますので、ぜひお手に取ってみてください。

【あらすじ】
 舞台は現代。北ドイツの小さな町クラインシュタットで、町の名前が七百年前に初めて古文書に記されたことを記念して「七百年記念祭」が開かれることになった。市内の伝統校ローレンツェン校では生徒たちが演劇やスポーツ大会などを企画していた。
九年B組の生徒たちは新任の歴史教師ボルマンといっしょに「ナチス時代の町の歴史」をテーマに展示会をやることにした。今まで授業に関心を示さなかった生徒たちが熱心に市役所の文書室で文献を調べたり、老人たちの証言を聞いたり、町の人にインタビューして資料を作り上げていた。
一方、町の権力者や年配の人たちの中には、負の過去を掘り起こしたことを快く思わない人もいて、展示会を邪魔しようと画策している。生徒たちは無事に展示会を開けるのだろうか。

【感想】
小さな町で暮らす一般のドイツ人たちが戦時中どのような行動をとったのか、どんな考えを持っていたのか、町の触れられたくない過去を生徒たちは暴いていきます。

テーマは堅めですが、物語の主人公は高校の生徒たちなので、学園ドラマのようなタッチで描かれていて、読みやすかったです。生徒たちが町の過去を探る過程は、さながら推理小説のような展開で、テンポもよく、読み始めると止まらなくなりました。

ドイツ語圏の戦争児童文学は、迫害された人たちに焦点を当てたものが多いのですが、この小説では、普通のドイツ人たちがナチスとどう関わったのかを描いています。さまざまな立場の人たちの証言を生徒たちが聞いていく、という構成なので、客観的な視点で読むことができます。

本書の作者紹介欄によると、著者のハンス=ユルゲン・ペライは1951年生まれで、歴史の教師をしながら児童文学を執筆しているとのことです。

著者:ハンス=ユルゲン・ペライ
訳者:酒寄進一
出版社:佑学社


過去への扉をあけろ
佑学社
ハンス・ユルゲン ペライ


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