『愛を読むひと』2008/アメリカ・ドイツ/124分

新宿のバルト9で『愛を読むひと』を観てきました!

【あらすじ】
 15歳の少年マイケルは、学校の帰り道に気分が悪くなったところを美しい女性に助けられた。自分の母親ほど年の離れたその女性、ハンナに惹かれたマイケルは、学校帰りに彼女のアパートに立ち寄り、やがて関係を持つようになる。ハンナは、マイケルが学校でどんな勉強をしているのかを知りたがり、さらに、授業で読んでいる本を朗読してほしいという。その後マイケルは、ハンナとベッドに入る前には、必ずなにか物語を朗読することになった。ふたりは逢瀬を重ねていたが、あるとき突然ハンナはアパートから姿を消してしまう。
 数年後、大学の法科に通っていたマイケルは、ゼミの一環として、ナチ親衛隊の元看守の裁判を傍聴することになった。そこで、マイケルは思わぬ形でハンナと再会する。ハンナは、元看守だったのだ。

【感想】
 映画の原作『朗読者』を先に読んでいたので、どのような作品になるのか、楽しみにしていました。見終わった後の感想は、80点くらいでしょうか。期待を裏切らないもので、結構満足しました。ドイツが舞台で、俳優もドイツ語圏出身者が多いのに、セリフがすべて英語、という点だけは気に入りませんでしたが、作品自体は、原作の雰囲気を損なうことなく仕上げられていました。

 この映画は、予習なしに観てもいいのですが、小説を先に読んでおくと、より楽しめると思います。ネタバレになるので詳しくは書けませんが、もしハンナの「過去」や「秘密」を知っていれば、例えば教会の場面でなぜハンナが泣いているのか、レストランの隣席でメニューを見ている子供たちを、なぜハンナが悲しそうに見つめているのか、などが分かり、細かな演出に気づくことができます。

 原作と異なる点は、マイケルの娘が出てくるところです。小説では、寄宿舎に入っている娘がいる、と軽く触れられているだけでしたが、映画では、ラストシーンで重要な役割を果たしています。
 また、小説では、マイケルの父親の存在も重要なポイントとして描かれていましたが、映画では、父親についてはほとんど何も紹介されていませんでした。父親は哲学の教授で、子供たちにあまり関心を寄せず、マイケルは父親に対し、複雑な感情を抱いていました。家族が不在のとき、マイケルはハンナを父親の書斎に案内して、父親の書いた哲学書を見せたりもしていました。
 映画では一緒に食卓を囲む父親の姿しかなかったと思いますが、でも映画のプログラムには、マイケルとハンナが父親の書斎と思われる場所で抱き合っている写真が載っていました。父親の職業を紹介するようなシーンも撮影したのでしょうね。ノーカット版を見てみたいものです。

【俳優について】
 特に、マイケル役のダフィット・クロス(デヴィッド・クロス)が、良かったです。クロスはドイツ映画『クラバート』でも主役を演じていましたが、クラバート役よりも今回のほうが良かったです。思春期の少年が年上の女性に恋焦がれる姿や、大学生になってハンナと再会したときの表情など、マイケルの繊細な心の動きをうまく演じていて、惹きつけられました。

 アカデミー賞最優秀主演女優賞を受賞したハンナ役のケイト・ウィンスレットは、悪くないのですが、顔も心も美しすぎるかな……。もう少し影があるような雰囲気の人のほうが良かったような気もします。

 ドイツ映画でおなじみの俳優さんたちもたくさん出演していました。
マイケルの娘役に、『四分間のピアニスト』の主演ハンナー・ヘルツシュプルングが出ていましたし、大学教授役は『ヒトラー最期の12日間』『ベルリン、天使の詩』などでおなじみの大物俳優ブルーノ・ガンツ、生き残ったユダヤ人の娘役に『ヒトラー最期の12日間』のアレクサンドラ・マリア・ララなどなど、豪華キャストが揃っていました。
 やはり、この映画の言語はドイツ語にして欲しかったです。

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